相談援助の現場に初めて足を踏み入れる方や、キャリアの浅いMSW(医療ソーシャルワーカー)、または連携室で働く看護師・事務職・ケアマネジャーの方々へ。この記事では、私自身がMSWとして働く中で「これは役立った!」と感じた実用的な書籍を2冊厳選してご紹介します。
教科書的な本や制度を網羅した参考書も大切ですが、「現場で実際にどう使うか」に特化した書籍は意外と少ないものです。制度を学んだだけでは分かりづらい“実務”に即した内容に焦点を当てています。
実務初心者におすすめのマニュアル本
『患者さんにそのまま見せる!診療科別医療福祉相談の本』
この書籍は、実務初心者にとって心強い味方となる一冊です。福祉制度の基本を学んだ後でも、
「実際にどの制度をどの場面で案内すべきか」が分からないという方は多いのではないでしょうか。
そんな悩みに応える形で、本書では診療科や疾患別に整理された制度の情報がコンパクトにまとめられており、まさに実践的なマニュアルといえる内容です。
患者さんやご家族への説明にもそのまま使えるレベルで、制度の背景や使い方が丁寧に解説されています。実際の現場で「このページを一緒に見ながら説明しよう」と思えるほどの実用性の高さが特長です。
古さはあるが構成は今でも有効
本書は2015年に出版されたため、情報の一部が古くなっている点は否めませんが、それでも構成や考え方は今でも十分に通用します。
続編として『医療福祉相談診療科別便利帳』(2019年刊)も出版されており、基礎を学びたい方にはこちらもおすすめです。
また、最新情報を知りたい場合は、『医療福祉サービスガイドブック2025年度版』などと併用して読むことで、現在の制度に照らした使い方が可能です。
✅ この本はこんな人におすすめ
相談記録に不安がある人に向けた実用書
『相談援助職の記録の書き方 ― 短時間で適切な内容を表現するテクニック』
記録業務に対する不安や苦手意識を抱えている方にとって、本書はとても心強い一冊です。相談援助職としての記録は、支援の継続性や他職種との連携において不可欠ですが、現場では「どこまで書くべきか」「どう表現すればいいか」悩むことも多いものです。
この書籍では、記録の意義や目的といった基本から始まり、実際の記録事例が豊富に掲載されています。SOAP、POR、DAP、CIRAPといった複数の記録形式も取り上げられており、自分の職場に合った方法を選ぶヒントになります。
多職種に対応した記録例が豊富
医療分野だけでなく、高齢者施設、就労支援、カウンセリング領域など多様な現場の記録例が紹介されているため、自分の支援スタイルやフィールドに合わせて学べる点も魅力です。
また、「短時間で適切な内容を書くためのテクニック」という視点も初心者には非常にありがたいポイント。限られた時間の中でも質の高い記録が残せるようになるための工夫が、わかりやすく解説されています。
✅ この本はこんな人におすすめ
まとめ|実務にすぐ活かせる2冊で支援力をアップ
今回ご紹介した2冊は、どちらも「現場で実際に役立つ」という視点に立った実用的な書籍です。
制度や知識の理解にとどまらず、患者や利用者に向き合う際に「どう動くか」「どう伝えるか」といった実践力を養ううえで非常に有益な内容となっています。
MSWとして働き始めたばかりの方はもちろんのこと、看護師やケアマネジャーとして患者支援に携わる方、これから福祉職を目指す学生さんにも広くおすすめできる内容です。
何を読めば良いか迷っている方は、まずはこの2冊からスタートしてみてはいかがでしょうか?
実務に役立つ知識と視点が、きっとあなたの支援を支えてくれるはずです。
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